現地レポート
◇留学を決意したきっかけ/留学先を選んだ理由
小学生の頃に国際交流のイベントで海外からの留学生たちとの交流を経験し、海外の文化について興味を持つようになりました。国際交流を通して多様な国や地域の習慣や言語、食文化などを知り、「世界をより知りたい」「将来は海外で留学したい」という気持ちが自分の中で強くなりました。エディンバラ大学を留学先に選んだ理由は、私が大学で専攻している文化人類学の知識を深めることができる授業が開講されていることに加え、興味を持っていたスコットランドの文化を肌で感じたいという気持ちがあったからです。
◇留学先での授業/現地での交流について
一学期には社会人類学(「人類とは何か」を世界各地の儀式や伝統などから学ぶ)・スコットランド民俗学(歴史や文化を学ぶ)・中国語の授業を、二学期には社会人類学(「人類学」の重要性を学ぶ)・スコットランド民俗学(スコットランドの美術作品とドキュメンタリー映画を学ぶ)・音楽心理学の授業を履修しました。語学系の授業を除き、私が留学先で履修した授業は講義とチュートリアルという2つの形式で構成されていました。講義では教授から学生への問いかけが行われることが多く、講義であっても一方的ではなく双方向のスタイルで行われている印象を受けました。講義や事前の論文の読み込みを通して得た考えをグループ内で共有するチュートリアルでは、積極的な参加が求められました。ネイティブの学生の議論の輪に入って発言することは、自分の英語力に自信がなかった私にとってハードルの高いことでした。留学当初のチュートリアルでは、他の学生の発言を聞いて理解することに必死でした。専門的な内容を扱った論文を読んで事前課題に取り組むことにとても時間がかかり、完全に講義・論文内容を理解できないままチュートリアルに臨むこともしばしばでした。そのような中で心の支えになったのが、同じチュートリアルグループにいた韓国からの交換留学生とチューターでした。その交換留学生とは英語で議論する難しさを語り合い、「お互い発言できる話題には積極的になって頑張ってみよう」と励まし合いながら毎回のチュートリアルに参加していました。チューターは学生の発言に毎回しっかり耳を傾けてくれたり、「課題のレポートやチュートリアル内での話し合いで何か心配なことや気になることはあるか」と聞いてくれたりするなど、私を含めた学生全員が意欲的にチュートリアルに参加できるような環境づくりを行ってくれました。英語でのグループディスカッションに慣れるまでの道のりは長かったですが、他の学生やチューターの支えのおかげで、最終的には自分から自信を持って発言することができるようになり、その結果英語力やコミュニケーション能力を向上させることができたと感じています。
現地での交流については、大学の授業での交流・Japan Societyのイベント・日本語学科の学生のサポート・ハロウィンパーティー・世界各国の料理を楽しむことができるInternational Cafeなどを通して、イギリス・中国・韓国・マレーシアなどからの学生と仲良くなることができました。現地で仲良くなった学生の中には、今でも連絡を取り合う人もいます!少しでも興味のあるイベントや他の学生と交流できる機会があれば、積極的に参加して色んな人に声をかけてみることをおすすめします。実際に話して仲を深めることで、自分とは異なるバックグラウンドを持った人たちの価値観を知ることができ、世界に対する自分の視野が広がったと感じています。
◇滞在先/寮生活/休日の過ごし方について
留学先のエディンバラは、世界遺産としても有名な豊かな文化と自然が特徴の都市です。気候は一年を通して曇りの日が多いですが、4月や5月になると段々と暖かく感じられるようになり、公園の桜も満開になって外出がより楽しくなります。旧市街ではハリーポッターの世界に迷い込んだかのような雰囲気を楽しむことができる街並みが広がり、大聖堂・博物館・宮殿などがあります。新市街には美術館・街全体を望むことができる丘・エディンバラ城を眺めることができる庭園があるほか、お土産屋さんなど買い物を楽しむことができる場所が数多くあります。イギリスにあるほとんどの美術館や博物館は誰でも入場料無料で、22歳未満はスコットランド内のバスに無料で乗車することができます(Young Scot National Entitlement Cardの申請が必要)。私の場合、休日は友だちと映画鑑賞・美術館/カフェ巡り・マーケット散策・エディンバラの隣の都市のグラスゴーへの日帰り旅行などを楽しみました。エディンバラの治安は悪くはないですが、夜になると酔っ払いやお金を騙し取ろうとする不審者も多くなるので注意が必要です。物価については、外食は高いですが、野菜・乳製品・パン・パスタなどは日本に比べると安く購入することができました。私は自炊タイプの寮でイギリス出身の4人のフラットメイトと、キッチン・トイレ・シャワーを共有していました(一人一人に個室あり)。グラスゴー出身のフラットメイトに彼女の故郷を案内してもらったり、4人からサプライズで誕生日ケーキをプレゼントしてもらったり、紅茶を一緒に飲んだり(フラットメイトは一日最低でも4回紅茶を飲むそうです!)と、交流を楽しみながら寮生活を送ることができたと思います。
◇留学を通して
帰国した今、エディンバラでの留学を振り返ってみると、この留学は「自分をちゃんと認めてあげる」ことにつながった経験になったと思います。留学前、私は他者と自分を比べて落ち込んでしまい、自分の考えに自信を持つことができずに、なかなか行動に移すことができない性格でした。しかし、留学が自分に対する見方を大きく変える転機になりました。留学中は日本とは異なる環境の中で、自分の判断で行動することが求められます。自信を持って自分の意思を他者に伝えることができたり、問題に直面しても臨機応変に対応することができたり、人それぞれの違いを「強み」や「魅力」として考える人たちと出会うことができたりするなど、留学中での全ての経験が自分自身を見つめ直すきっかけを与える貴重なものとなりました。そして何より、異国の地で思い通りにいかずに悔しい思いをたくさんしながらも約9か月を乗り切った自分を「よく頑張った」と素直に認めることができました。どんな経験も自分にとって意味のあることだと思っています。留学で得た自分自身に対する気づきや、物事を広い視点から考える力をこれからの自分の成長に繋げていきたいと考えています。
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