現地レポート
JENESYS(対日理解促進交流プログラム)とは・・・
日本政府(外務省)が主催する国際交流プログラムで、日本の文化や歴史を現地の人々に紹介し、
相互交流を深めることを目的としています。派遣国は複数ありますが、私はフィリピン派遣プログラムに参加しました。書類選考と面接試験を通過すると、日本代表の派遣団としてフィリピンを訪問し、
現地での生活を体験しながら、日比関係や日本のODAによる貢献について学ぶことができます。
なぜ応募したのか・・・
私は入学以来、Gコースに所属し、国際的なテーマに関心を持って取り組んできました。大学2年生の冬には、ドイツで開催された模擬国連の世界大会「National Model United Nations Germany Erfurt 2023」に、Prichard准教授の指導のもと出場しました。その経験から、「議論だけでなく、実際に海外に踏み出し、日本と諸外国との交流や支援について学びたい」と強く思うようになりました。
ちょうどその頃、岡山大学グローバル人材育成院からの案内メールをきっかけに本プログラムの存在を知り、応募を決意しました。短期間での準備は大変でしたが、日本文化紹介や自己PR用のプレゼン資料を工夫し、これまでの国際経験や学びを十分に伝えることで、選考を通過することができました。合格後は、事前研修を通じてフィリピンに関する理解を深め、参加者同士の交流も進められました。私は教育学部に所属し、将来は中学校の英語教員を目指しています。今回の経験は、将来異文化理解を扱う授業を行う際に必ず役立つと確信しています。
プログラム内容は、大きく5つです。
① フィリピン日本大使館などの公式機関への訪問
マニラにある日本大使館では、外交政策や情報収集、日本人保護の役割について学びました。特に印象に残ったのは、「現在、日比関係は黄金期にある」という説明です。第2次世界大戦後、両国間には大きな溝がありましたが、キリノ大統領による戦犯釈放や、日本文化・アニメの浸透、大使館の取り組みによって関係が大きく改善してきたことを知り、大きな学びとなりました。
② フィリピン大学(UP)・リセウム大学(LPU)において、フィリピンと日本の文化交流
現地大学で、日本文化紹介を行い、空手・書道・着物・よさこいを体験してもらいました。私は幼少期から学んできた空手を担当し、「平安五段」の型を披露した後、学生と基本練習を一緒に行いました。汗をかきながら楽しむ姿が印象的でした。また、フィリピン側からは伝統舞踊「ティニクリン」を紹介していただき、実際に踊りに参加する貴重な体験ができました。
③ ホームステイで現地の生活を体験
私が動物アレルギーを持っていたため、今回はホームステイはできませんでしたが、翌日にホームビジットで現地家庭を訪問しました。ホストマザーの妹さんと年齢が近く、大学生活や趣味について語り合ったり、家族でチェスを楽しんだりして交流を深めました。短時間でしたが、現地の生活に触れる貴重な機会となりました。
JICAでは、途上国の成長と安定に向けて技術・資金協力など多様な国際支援を行っています。JICAはフィリピンで多くの事業の支援を行っていますが、その中でも特に力を入れているのは鉄道事業です。1日の経済損失が約90億円と言われる背景には、
「渋滞」が大きな社会問題で、渋滞緩和・移動の効率化を目的とした鉄道事業が行われるようになりました。実際私たちは、
日本企業が行った鉄道建設プロジェクトによってできた都市鉄道「マニラMRT3号線」に乗りました。
揺れが少なく、静かで乗り心地が日本の電車とほとんど変わらないのが印象的でした。
⑤ NPO法人アクションの方と、貧困層が居住するナボダス地区に現地訪問およびディスカッション
今回のプログラムで個人的に一番印象的だったのが、実際にフィリピンの貧困層が居住する地区を訪れ、貧困の現状について
学んだことです。この地域では水の上に家が建ち並んでおり足場が悪く崩れている部分も多々ありました。家賃は1か月おおよそ1500円ほどですが、それでもこの地域の人々にとっては家賃を稼ぐことさえも大変なことであることに胸が痛くなりました。
教科書やニュースだけでは絶対に学ぶことのできない貧困の現状が見られたともに、貧困に対する問題意識が高まりました。
模擬国連や大学の講義で国際問題を学んできましたが、実際に現地を訪れなければ分からないことが多いと実感しました。
また、教育学部だけでなく、農学部・工学部・国際関係学部など多様なバックグラウンドを持つ仲間と協働できたことも
大きな成長の機会でした。
私は2026年4月から地元・香川県で中学校の英語教員となることが決まりました。今回の経験を子どもたちに伝えることで、
世界の課題や日本の取り組みに関心を持ち、グローバルに活躍できる人材を育てたいと考えています。
JENESYSは、海外で学びたい方、専門分野を国際的に活かしたい方、大学や国境を越えて交流したい方に強くおすすめできる
プログラムです。ぜひ挑戦してみてください。きっと大きな成長につながります。



